日立とは
日立は、1910年に国産初の電動機を製造したことで創業した日本の電気機器メーカーです。
現在は、日立グループの中核企業として、世界有数の総合電機メーカーとなっています。
デジタルシステム&サービス、グリーンエナジー&モビリティ、コネクティブインダストリーズ、オートモーティブシステムなどの分野で、データとテクノロジーを活用した社会イノベーション事業を展開しています。
社会の発展と人々の暮らしの向上を支えることを使命とし、「Inspire the Next」というコーポレート・ステートメントを掲げています。
売上高は10兆2646億円、総従業員数は35万864人で、日本国外からも59%の売上を得ています。
日立のM&A戦略
日立は、デジタル事業の成長を加速するために、M&Aを積極的に活用しています。
2022年6月13日に発表した事業戦略では、2024年3月期からの3年間でデジタル関連のM&Aなどに約7500億円を投資する方針を示しました。
そのうち5000億円はデジタル事業の拡大投資で、残りの2000億円はIoT(インターネット・オブ・シングズ)関連のLumadaの開発投資です。
日立は、2021年7月に米IT企業のグローバルロジックを約1兆円で買収しました。
これは日立史上最大のM&Aであり、デジタル事業の売上収益や利益率を大幅に高めるとともに、グローバル市場での競争力を強化する狙いがありました。
グローバルロジックは、デジタル製品やサービスの開発や運用を支援する企業で、世界14カ国に拠点を持ち、約20000人のエンジニアを擁しています。
日立は、グローバルロジックの買収だけでなく、比較的手薄な地域や新たな事業領域への進出の足掛かりになるようなM&Aも検討しています。
例えば、日立造船は2022年3月期からの3年間でM&Aなど事業投資に約750億円を投じる方針で、脱炭素や資源循環などの事業を拡大するとしています。
また、日立はスタートアップ企業への投資も積極的に実施し、22~24年度に500億円のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の枠組みを設けました。仮想空間「メタバース」や量子技術、環境など先進的な技術や事業モデルを持つ企業を発掘し、協業を進めることで、Lumada事業の成長モデルを進化させることを目指しています。
日立のM&A事例
2018年12月:日立ハイテクが米国の半導体製造装置メーカーであるココレスを買収
日立ハイテクは、米国の半導体製造装置メーカーであるココレスを買収しました。
ココレスは、半導体ウエハーの表面に薄い金属膜を形成する装置や、ウエハーの表面処理に必要な化学品やガスを供給する装置などを提供する企業です。
日立ハイテクは、ココレスの製品と自社の半導体検査装置や分析装置とを組み合わせることで、半導体製造プロセス全体におけるソリューション提供能力を強化することを目指しました。
2019年6月:日立コンストラクションマシナリーがオーストラリアの鉱山機械メーカーであるブラッドケンを買収
日立コンストラクションマシナリーは、オーストラリアの鉱山機械メーカーであるブラッドケンを買収しました。
ブラッドケンは、鉱山や建設現場で使用される大型の鋳造製品や金属製品を製造・販売する企業で、世界各地に拠点を持っています。
日立コンストラクションマシナリーは、ブラッドケンの技術やネットワークと自社の建設機械やサービスとを組み合わせることで、鉱山や建設業界における総合的なソリューション提供能力を高めることを目指しました。
2019年12月:日立化成の株式の約51%を米国の投資ファンドであるKKRに売却
日立は、日立化成の株式の約51%を米国の投資ファンドであるKKRに売却しました。
日立化成は、電池や電子材料などを手掛ける化学メーカーで、日立グループの中核企業の一つでしたが、2018年から2019年にかけて品質不正問題が発覚しました。
日立は、日立化成の経営改革や事業再編を支援するために、KKRと提携することにしました。KKRは、日立化成の株式公開買い付け(TOB)を実施し、2020年3月に完了しました。
2020年4月:英国の原子力事業会社であるホライゾン・ニュークリア・パワーを米国のウェスティングハウス・エレクトリックに売却
日立は、英国で新規原子力発電所建設プロジェクトに参画するために2012年に買収したホライゾン・ニュークリア・パワーを、米国の原子力事業会社であるウェスティングハウス・エレクトリックに売却しました。
日立は、英国政府との交渉が難航し、プロジェクトの経済性が見通せなくなったことから、2019年1月にプロジェクトから撤退することを決めました。
その後、ホライゾン・ニュークリア・パワーの売却先を探していましたが、2020年4月にウェスティングハウス・エレクトリックと合意しました。
2021年7月:米国のデジタルエンジニアリングサービスのリーディングカンパニーであるグローバルロジックを約1兆円で買収
日立は、デジタル事業の売上収益や利益率を大幅に高めるとともに、グローバル市場での競争力を強化する狙いで、グローバルロジックを買収しました。
グローバルロジックは、デジタル製品やサービスの開発や運用を支援する企業で、世界14カ国に拠点を持ち、約20000人のエンジニアを擁しています。
日立は、グローバルロジックのケイパビリティとLumadaの融合により、お客さまとの協創を通じてDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速することを目指しています。