ダイキンのM&Aによる成長戦略とその戦略的意義

エアコンの下で男性がソファーに座っている様子

ダイキンとは

ダイキン工業は、グローバル空調総合メーカーとして、環境と空気の新たな価値を提供し、サステナブル社会への貢献とグループの成長を実現することを目指しています。
そのために、事業環境の変化に対応するため企業の合併・買収(M&A)に積極的に取り組んでいます。

ダイキンの成長戦略

ダイキンは、2021年度から2025年度までの戦略経営計画「FUSION25」を策定しました。
この計画では、カーボンニュートラルへの挑戦、顧客とつながるソリューション事業の推進、空気価値の創造という成長戦略3テーマと、北米空調事業という強化地域1テーマを設定しました。
また、技術開発力の強化、強靭なサプライチェーンの構築、変革を支えるデジタル化の推進など経営基盤強化5テーマも掲げました。

これらのテーマを実現するために、ダイキンはM&Aを重要な手段として活用しています。
十河政則社長は、2022年2月18日のインタビューで、「その変化を想定し直した買収はまだ設定し切れていない。そこを詰めていったらプラスアルファで出ていく」と述べ、昨年6月に設定した2023年度までの3年間で6000億円というM&Aの枠を超える可能性を示唆しました。
また、「事業の発展につながる案件であれば1000億円を超えても検討の対象になる」とも語りました。

ダイキンのM&Aの狙い

ダイキンがM&Aで狙っているのは、欧州暖房やコールドチェーンなど環境先進市場や新規市場への参入や拡大です。
欧州では化石燃料を使用する燃焼式暖房から空気中の熱を利用するヒートポンプ式暖房への置き換えが進むとみられ、販売・サービス関連企業の買収を検討しています。コールドチェーン事業では、商業施設向けの冷凍ユニットと陳列棚が分かれている分離型ショーケースを手掛けるメーカーにも関心があるという。
これらは食品ロスの削減や食の安心・安全といった社会課題にも貢献することができます。

ダイキンのM&A事例

ダイキンは、過去にも空調大手の米グッドマンやオーストリアの冷凍・冷蔵ショーケースメーカー、AHTなど大型買収を手掛けてきました。
これらの買収により、北米や欧州での市場シェアやブランド力を高めるとともに、技術や製品の多様化、地域適合化、サービス強化などを図ってきました。
また、買収した企業の経営や文化を尊重し、自主性を保ちながらも、ダイキンの経営理念や戦略に沿って協力していくという「ダイキンスタイル」のM&Aを展開しています。

ダイキンのビジョン

ダイキンのM&Aによる成長戦略は、環境と空気の新たな価値を提供することで社会に貢献するというビジョンに基づいています。
そのためには、市場ニーズや環境規制に対応する技術革新や商品開発だけでなく、顧客との関係構築やサービス提供などのソリューション事業も重要です。
M&Aは、これらの事業展開を加速させるための有効な手段です。
ダイキンは、M&Aを通じて自社の強みを活かしながらも、買収先の強みや特色を生かすことで相乗効果を生み出し、競争力を高めています。

ダイキンのM&Aによる成長戦略は、その戦略的意義が高く評価されています。
ブルームバーグインテリジェンスの北浦岳志アナリストは、「最終的に市場が判断するのは買収額や収益ポテンシャル」とし、「ダイキンは過去にも大型買収で成功しており、その実績がある」と述べました。
また、「欧州暖房やコールドチェーンなどは環境先進市場や新規市場であり、ダイキンが得意とする分野である」と指摘しました。

ダイキンは、M&Aを通じてグローバル空調業界のリーダーとしての地位を確立し、カーボンニュートラルへの挑戦や空気価値の創造など社会的使命も果たしています。
今後もM&Aを積極的に活用し、環境と空気の新たな価値を提供することでサステナブル社会への貢献とグループの成長を実現していくことでしょう。

 

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