M&Aの実務についてステップ毎に詳しく解説

M&A実務とは、企業の合併や買収などの事業戦略を実行するために必要な一連の業務のことです。M&A実務には、企業評価、取引企業候補の選定、交渉、契約書作成、デューデリジェンス(買収監査)、クロージング(取引完了)などが含まれます123。

M&A実務は非常に複雑で専門的な知識が必要なため、多くの場合、M&A仲介会社やアドバイザーに委託されます12。M&A仲介会社やアドバイザーは、売り手と買い手の間に立って、中立的な立場でM&Aの成立をサポートします2。M&A仲介会社やアドバイザーは、以下のような業務を行います12。

売り手企業の企業価値評価や売却相場の算定

M&A実務の最初のステップとして、売り手企業の企業価値評価や売却相場の算定が行われます。企業価値評価とは、売り手企業の経営状況や将来性を分析し、その価値を金額に換算することです。売却相場とは、同業他社や類似企業のM&A事例を参考に、売り手企業が市場で取引されるであろう金額の範囲を推定することです¹²。

企業価値評価や売却相場の算定には、さまざまな方法がありますが、代表的なものとして以下のようなものがあります¹²。

– DCF法(ディスカウンテッド・キャッシュフロー法)
– PER法(株価収益率法)
– PBR法(株価純資産倍率法)
– EBITDA倍率法
– 売上高倍率法

これらの方法は、それぞれ異なる観点から企業価値を評価します。例えば、DCF法は将来のキャッシュフローを現在価値に割り引くことで企業価値を算出しますが、PER法は株式市場で取引される株価と一株当たりの利益との比率から企業価値を推測します。どの方法が最適かは、売り手企業の特徴やM&A市場の状況によって異なります。

企業価値評価や売却相場の算定は、M&A交渉における重要な判断基準となるため、正確かつ客観的に行う必要があります。しかし、これらはあくまでも評価方法であり、実際の取引価格は売り手と買い手の交渉次第で変わります。したがって、M&A仲介会社やアドバイザーなどの専門家に依頼することが一般的です。

買い手企業候補の選定や打診

M&A実務の次のステップとして、買い手企業候補の選定や打診が行われます。買い手企業候補とは、売り手企業に対してM&Aに興味を持ちそうな企業や事業者のことです。買い手企業候補の選定には、以下のような要素を考慮します¹²。

– 売り手企業と買い手企業候補との間にシナジー効果(相乗効果)が期待できるか
– 売り手企業と買い手企業候補との間に競合関係や規制上の問題がない
– 売り手企業と買い手企業候補との間に信頼関係や相性が良いか
– 売り手企業と買い手企業候補との間に価値観や経営方針の一致が見られるか
– 買い手企業候補がM&Aに必要な資金力や人材力を有しているか
買い手企業候補の選定には、M&A仲介会社やアドバイザーなどの専門家のネットワークや情報が重要になります。M&A仲介会社やアドバイザーは、売り手企業の希望条件に合った買い手企業候補を探し出し、秘密保持契約のもとで打診を行います 。

打診は、売り手企業の概要やM&Aの目的・条件などを伝え、買い手企業候補のM&Aへの関心度や意向を確認することです。打診は、M&A仲介会社やアドバイザーが中立的な立場で行うことが望ましく、売り手企業と買い手企業候補との直接的な接触は避けることが一般的です 。

トップ面談や条件交渉のサポート

M&A実務のさらに次のステップとして、トップ面談や条件交渉のサポートが行われます。トップ面談とは、売り手企業と買い手企業候補の経営者同士が直接顔を合わせることです。トップ面談では、互いの人柄や経営理念などを確認し合い、信頼関係を構築することが目的です。トップ面談で互いに好印象を持てれば、その後の交渉がスムーズに進む可能性が高くなります 。

トップ面談で互いに意気投合したら、次は具体的なM&Aの条件交渉に入ります。条件交渉では、M&Aの価格や支払方法、株式譲渡比率や役員配置など、さまざまな項目について話し合います。条件交渉は非常に重要であり、かつデリケートなプロセスです。売り手企業と買い手企業候補はそれぞれ自分たちに有利な条件を求めるため、対立やすれ違いが起こりやすくなります 。

そこで、M&A仲介会社やアドバイザーなどの専門家がサポートすることが重要になります。M&A仲介会社やアドバイザーは、売り手企業と買い手企業候補の間に立って中立的な立場で交渉を進めます。

基本合意書や最終契約書の策定や締結

M&A実務のさらに次のステップとして、基本合意書や最終契約書の策定や締結が行われます。基本合意書とは、条件交渉で大筋で合意した内容を書面にまとめたものです。基本合意書には、M&Aの価格や支払方法、株式譲渡比率や役員配置などの主要な条件が記載されます。基本合意書は、M&Aの成否を決める重要な契約書ですが、法的拘束力はありません。基本合意書を締結した後に実施されるデューデリジェンス(買収監査)によって条件の変更や追加があったり、場合によっては破談になったりすることもあります 。

デューデリジェンスとは、買い手企業が売り手企業の財務状況や法務状況などを詳細に調査することです。デューデリジェンスでは、売り手企業が提供した資料や証明書などを精査し、隠れたリスクや問題点がないかを検証します。
デューデリジェンスは、M&Aの価格や条件を最終的に決めるための重要なプロセスです。デューデリジェンスで発見されたリスクや問題点に応じて、M&Aの価格や条件の見直しや保証条項の追加などが行われます 。

デューデリジェンスで問題がなければ、次は最終契約書の策定や締結に入ります。
最終契約書とは、M&Aの価格や条件などを最終的に確定したものです。最終契約書には、基本合意書に記載された内容に加えて、保証条項や損害賠償条項などの詳細な内容が記載されます。最終契約書は、M&Aにおける法的拘束力を持つ唯一の契約書です。最終契約書を締結することで、M&Aは成立します 。

デューデリジェンスの実施やサポート

デリジェンスとは、買い手企業が売り手企業の財務状況や法務状況などを詳細に調査することです。
デューデリジェンスでは、売り手企業が提供した資料や証明書などを精査し、隠れたリスクや問題点がないかを検証します。

クロージングまでのフォローアップ

M&A実務の最後のステップとして、クロージングまでのフォローアップが行われます。
クロージングとは、M&Aの価格や条件などを最終的に確定したものです。クロージングには、最終契約書の締結や株式譲渡などの手続きが含まれます。
クロージングを行うことで、M&Aは完了します 。

クロージングまでのフォローアップでは、最終契約書の策定や締結に向けて、売り手企業と買い手企業候補との間で必要な調整や確認を行います。
また、M&A仲介会社やアドバイザーなどの専門家が、最終契約書の内容や手続きに関するアドバイスやサポートを提供します。

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