M&Aとは、Mergers(合併)and Acquisitions(買収)の略で、企業の合併買収のことです。
M&Aは、企業の成長戦略や事業承継の手段として、多くの企業に利用されています。
M&Aの流れ
M&Aの流れは、大きく分けて以下の5つのステップになります。
1. M&Aの目的と方針の設定
2. M&Aの対象となる企業(ターゲット)の選定
3. ターゲットへのアプローチと交渉
4. ターゲットの評価とデューデリジェンス(調査)
5. M&A契約の締結と統合
M&Aの手法
M&Aには、様々な手法(スキーム)がありますが、代表的なものは以下の通りです。
– 株式譲渡:ターゲットの株式を買収することで、経営権を取得する方法です。
– 事業譲渡:ターゲットの事業や資産を買収することで、事業を拡大する方法です。
– 合併:ターゲットと自社を一つに統合する方法です。吸収合併と新設合併があります。
– 会社分割:自社やターゲットの一部事業を分離し、新たな会社を設立する方法です。
– 第三者割当増資:自社やターゲットが新株を発行し、相手方に引き受けさせる方法です。
M&Aのメリットとデメリット
M&Aには、以下のようなメリットがあります。
– 時間やコストをかけずに事業規模や市場シェアを拡大できる
– ターゲットの技術や人材、ノウハウなどを活用できる
– 相乗効果(シナジー効果)により、収益性や競争力を高められる
– 投資回収期間を短縮できる
– 税制上の優遇措置を受けられる
一方で、M&Aには以下のようなデメリットもあります。
– ターゲットの評価や交渉が難しい
– デューデリジェンスに多くの時間や費用がかかる
– M&A契約におけるリスクや責任が重大である
– 経営文化や組織風土の違いにより、統合がうまくいかない
– 従業員や取引先などの関係者から反発を受ける
M&Aは、異なる企業文化を持つ会社同士が一つになる行為であるため、統合がうまくいかなければ弊害が生まれやすくなります。M&A後における企業文化の融合は、経営文化や組織風土の違いにより、統合がうまくいかない場合があります。そのため、M&A後における人事や組織の整備は重要な課題となります。
M&Aの失敗事例
M&Aには、成功事例だけでなく、失敗事例も多くあります。
失敗事例からは、M&Aにおける注意点やリスクを学ぶことができます。
M&Aの失敗事例として有名なものは以下の通りです。
松下電器産業(現パナソニック)がSANYO電機を買収したケース
2009年に松下電器産業がSANYO電機を買収しましたが、両社の経営方針や文化の違いにより、統合がスムーズに進まず、2011年には赤字に転落しました。
日本航空(JAL)が日本エアシステム(JAS)と合併したケース
2002年に日本航空と日本エアシステムが合併しましたが、両社のサービスやブランドイメージの違いにより、顧客や従業員の混乱を招きました。また、合併後の経営効率化が進まず、2009年には破綻しました。
マイクロソフトがノキアの携帯電話事業を買収したケース
2013年にマイクロソフトがノキアの携帯電話事業を買収しましたが、スマートフォン市場での競争力が低く、買収価格の約8割にあたる76億ドルを減損処理しました。
以上が、M&Aについての基礎知識とポイントです。M&Aは企業の成長戦略として有効な手段ですが、成功させるためには慎重な準備と実行が必要です。M&Aに関心のある方は、過去の事例から学び、自社の状況や目的に合ったM&Aを検討してみてください。